NOEL ノエル

今年の冬も、愛する人と過ごしたいクリスマス・イヴがやって来た。ニューヨークの街は、たくさんのプレゼントを抱えた人たちで賑わっている。しかし、そんなクリスマスムードに浸れない人たちがいる。ニーナの婚約者で、正義感溢れる警察官マイクは、イブの日にニーナと男友達との仲を誤解し、暴力を振るってしまった。彼は、時折非常識なほどの嫉妬心を発揮する。ニーナは誰もが見惚れてしまうほど美しい。彼女は幸せの絶頂にいた。もうすぐ結婚するのだ。婚約者のマイクは、ニーナを深く愛していた。しかし、時折常識はずれのマイクの嫉妬心は、自分の仕事や友人を大切にしたいニーナにとって、理不尽な束縛だった。その事件で、部屋を飛び出して実家へ帰る。そこで偶然出逢ったローズに「真実の愛を見つけたら、闘いもせずに投げ出したりしないで」と励まされ、ニーナの心は揺れる。一方、ローズは、独身でバツイチ、子供なし、そして重病の母親を抱えている。入院中の母は、もはやローズが誰かもわからない。ひとりぼっちのローズは、クリスマスイヴの街へあてもなく出かける。桟橋に佇むローズに、母親の病院の見舞い客が声をかける。身の上話を語る彼に、ローズは少しずつ心を開いていく。それぞれの孤独と向き合い、やがて長かった夜が明け、ささやかな、けれど美しい奇跡が起ころうとしていた。